今回の「Ocean商店街の旅」は新潟県上越市高田です。
新潟県の西部に位置する上越市中心部の高田は、「雁木(がんぎ)の町」と言われています。
雁木とは通り沿いに並ぶ家々の軒先を延ばし、あたかもアーケードを設けた歩道のような空間を作ったもので、独特の風情を漂わせています。
旅のスタート高田駅の駅舎は、まるで高田の町を象徴する雁木を思わせるような雰囲気ですね。
まずは、この地の守り主のところにご挨拶に参りましょう。
「日枝(ひえ)神社」は、
高田城下の総鎮守で、高田駅の西側、寺町にある唯一の神社です。
社伝によれば、仁寿3年(853)創立とされ、幾度かの焼失を経て、現在の社殿は明治15年(1882)再建されたものだそうです。
山を支配した神で、産業をつかさどる神でもある大山咋命(おおやまくいのみこと)ほか4柱をまつっていて、境内には神様の案内役の猿神もおり、「魔が去る」「勝る」に通じて、大変縁起がよいと言われています。
厳かな雰囲気の中、ご挨拶をすませ次の目的地へ向かいましょう。
石畳の風情のある雁木の通りを進むと見えてきました。
「瞽女(ごぜ)ミュージアム高田」に到着です。
「高田瞽女の文化を保存・発信する会」の小川善司さんにお話を伺いました。
瞽女とは、三味線をたずさえて語り物などを唄いながら、各地を巡る盲目の女性旅芸人のことで、失明してしまった女児が自立して生きていけるようにと、芸を身に付けさせたのが成り立ちと言われています。
新潟県は全国で最も長く瞽女の文化が残っていた地域だそうです。
その旅を支えたのは、約1千軒にもおよぶ村々の瞽女宿と農山村の人々の人情だったのだそうです。
瞽女宿は裕福な農家が引き受け、瞽女に無償で食事と宿を提供し村人を集めて唄と語りを聞かせていました。
瞽女は、娯楽の少ない時代に唄や語りを通じて人々に感動や教養を与えていたのです。
最後に小川さんは、「その生き方に感動し、明日に向かう勇気をもらえます。
そして、この高田に瞽女さんがいたことを誇りに思えるんです。」と伝えてくださいました。
この瞽女がモチーフとなった名物があるというので向かいましょう。
高田の仲町にたたずむ江戸末期より続く老舗菓子店『相川菓子店』さんに到着しました。
創業当初は、最初に参拝した「日枝神社」の参道に店を構えて羊羹や最中を販売していたそうです。
早速、おじゃましましょう。
七代目の相川郁子さんが持っているのがその名も『瞽女最中(ごぜもなか)』こちらの代表菓です。
芸事好きな四代目が、最中を三味線の胴の形にして丸四角にしました。
このいきさつから高田瞽女を偲ぶ市民の方々より命名いただいたのです。
昔ながらの道具と技で丁寧に仕込まれる粒餡の奥深いコクとキレのある甘さを、焦がしの皮で包んだ最中です。
香ばしい香りと上品なあんこが口の中に広がります。
「最中といえば相川、相川といえば最中」と言われるほどです。
また、相川菓子店で忘れてはいけないのが『きんつば』です。
キラキラ光る粒餡の瑞々しさが感じられ、控えめな甘さで小豆の風味が際立つ逸品です。
店内は趣のあるたたずまいで、歴史を感じさせるショーケースには定番のものから季節の商品も並びます。
伺った時期は『栗むし羊羹』も人気ですが、残念!今日はすでに売り切れでした。
心が揺さぶられるような素敵な文化や名品が受け継がれている高田の町と相川菓子店にぜひ一度訪れてみてはいかがでしょう。
【今回ご紹介したお店】
相川菓子店
所在地:新潟県上越市仲町1-4-7
TEL:025-524-4450
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